情報銀行が世間で受け入れられるためには、超えなくてはならないいくつもの「壁」があります。どのような課題があるのか整理します。
情報銀行の普及に向けた壁
野村総合研究所の調査(2017年)では、情報銀行を利用してみたいと答えた人は約4割と少ないです。その背景にある事情を考えます。
個人情報の取扱への懸念
情報銀行は機微な個人情報を取扱います。場合によっては自身や家族の健康状態や、「価値観」などの情報も提供します。
個人情報の流出事件は世界中で頻繁しており、情報銀行に対しても個人情報の取り扱いという点で懸念の声があります。

メリットを理解されづらい
情報銀行は「自分の情報を提供する対価として報酬を得られる」という理解が少しずつ定着していますが、自分の情報を提供する対価として報酬を得ることにメリットを感じる人がどれほどいるのか、という点がまず課題としてあります。
そういった点にメリットを感じるのは、アンケートサイトやポイントサイトを利用している層と重なる部分が多いとみられるため、そういったサービスの既存利用者をどれだけ情報銀行に引き込むことが出来るのか、が一つの鍵となりそうです。
また、報酬を得られること以外にも、自分自身に関する個人情報をワンストップで管理するのに役立つというメリットもありますが、この部分に対しても現状で対応しているサービスが少ないこともあり、具体的なメリットをイメージしづらい状況があります。
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登録の煩雑さ
実際に情報銀行に登録しようとすると、サービスによっては設問数の多いアンケートに答える必要があります。登録作業に10分以上掛かる場合もあります。

また、SMSを使った本人認証なども必要となるため、利用開始時の登録作業が「面倒」と感じるユーザーは少なくないでしょう。せっかく利用したいと考えても、途中で断念する人も少なからずいるはずです。